OJT部下育成

部下ができたら伝えたいことvol.3.振り返りをする

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このコラムの読み手は、以下の方々を主な対象にしています。

  • 初めて部下ができた人
  • 部下の指導方針を考えている人
  • OJTトレーナーとの面談をする人事担当者・上司

初めて部下ができたら、部下にはどのような社会人になって欲しいですか?

そして、そのために何を伝えていきたいですか?

多くの企業では、自分から手を挙げて部下をつけてもらうというより、人事や上司からの指示で部下がつくことが多いのではないでしょうか?

突然、上司になったあなたは、何から教えればよいのか、どのようなコミュニケーションをとればよいのか、少し戸惑うこともあるかもしれません。

まずは、部下にどのような社会人になって欲しいのか?をあなたなりに考え、部下本人とすり合わせることが大事です。

ただ、部下がまだ新入社員や若手社員のうちは、本人の希望が漠然としていたり、そもそもどのようなキャリアパスがあるのか知らなかったりと、スムーズなすり合わせが出来ないこともあります。

そこで、やはり大事なことは、上司であるあなたが、部下にどのような社会人になってほしいのか?を考えてあげることです。

これは、部下のキャリアを一方的に決めるという訳ではありません。

様々な職種や業種で共通して求められるような基礎的なスキルや考え方、マインドのイメージを持っておくということです。

そこで、本シリーズ<部下ができたら伝えたいこと>では、様々な職種や業種において共通して求められるような基本的な考え方やマインドをご紹介していきます。

あなたが「コレは部下に伝えたい」と思うことがあれば、ぜひ、取り入れてみてください。

<部下に伝えたいこと:振り返りをする>

最近、振り返りをしていますか?

仕事でどのような経験をし、どのような気づきがありましたか?

得られた気づきから、どのようなことを学びましたか?

そして、学んだことは活きていますか?

仕事に慣れてしまうと、“振り返る”ことをしなくなってしまう人も多いかもしれません。

しかし、スキルや知識に新たなアップデートがないと感じていても、そこに気づきや学びが無い訳ではない。

取引先のAさん、上司のBさん、同僚のCさんの仕事の仕方、コミュニケーションの仕方にはきっと特徴があり、取り入れられるところ、逆に反面教師にすべきところなどがあるはずです。

そうした気づきは、きっとあなたの今後の仕事や人間関係に活きるものもあるでしょう。

社会人生活が何年経とうが“振り返り”って大切なんですよね。

なぜなら、自分を成長させてくれるものだからです。

たまに“成長”という言葉を嫌がる人がいます。

そんな人には、「日々の仕事や人間関係が少しでも円滑に進む要素がゲットできれば儲けもの。と思ってください」とお伝えすると、ニカっと笑って、納得してくれます。

そう。成長するため。日々の仕事や人間関係を円滑に進めるため。

理由は自分が納得できるものを選んでいただければ良いのですが、大切なのは『振り返りをすること』なのです。

さて、上司になった立場のあなたでさえ、振り返りの大切さをご理解いただけたと思います。

部下の新入社員や若手社員にとっては、さらに“振り返り”は大切だと思いませんか?

初めての業務、慣れない業務、初めて会う人、初めての商談など、経験の乏しい彼等にとって、日々の経験から得られる気づきや学びはかなりの量になるでしょう。

しかし、初めてづくしの経験をした彼等の頭の中は、業務時間が終わる頃には飽和状態になっていたり、必死に業務に取り組むが故に“気付き”に気付けなかったりしてしまうものです。

よく1~3年目の若手社員向けの振り返り研修をすると、こんな声が多く挙がってきます。

「立ち止まって、振り返る時間なんて無かった。毎日必死だった」

「何が良くて、何が良くなかったのか、のモノサシがないから、この1年の自分がどうたったのかよく分からない」

「同じような失敗ばかりを繰り返してしまって、落ち込んで帰ることが多い」

これが若手社員の現状なのです。

もし、彼等が“振り返りを習慣にしていたら”、“振り返りの指標を持っていたら”、より大きく成長していたと感じませんか?

振り返りの重要性を理解してもらうこと、“振り返る癖”を身に付けてもらうことは、今後の彼等の社会人生活に大きな影響を与えるものになるでしょう。

そのためにも、毎日の業務報告の際に、一緒に振り返りの時間を取ってみるのはいかがでしょうか?

たった5分時間を取るだけでも良いのです。それが毎日続けば、かなりの気づきの量になるでしょう。

例えば、業務報告を受けている時にこんな質問をしてみるのです。

  • 「この仕事で気付いたことはある?」
  • 「この人と一緒に仕事をして、学べることはあった?」
  • 「この仕事をもっとはやく終わらせるには何が必要だと思う?」

ちょっとした問いかけで良いのです。これを続けていくうちに、部下の彼等も自分なりの振り返りの指標を持つことができます。そして、“気づき”へのアンテナ感度も高くなるでしょう。

部下には「振り返りの習慣を身に付けた社会人になってほしい」と共感できたら、ぜひ、取り入れてみてください。

少しでもあなたの部下指導に活かせる情報を提供できていれば嬉しいです。

このシリーズはまだまだ続きます。あわせて、ご一読ください。